食品衛生学〜食中毒

細菌性食中毒

細菌性食中毒とは病原細菌によって汚染されている食品を飲食することにより発症する病気。発症の仕方には感染型と毒素型があり、感染型には感染侵入型と感染毒素型とがある。

感染侵入型

原因細菌が食品中に増殖し、生きたまま食品とともに摂取され、腸管内で増殖または芽胞さらに増殖して組織や細胞に侵入して発病する。
原因菌:サルモネラ属菌、エンシニア・エンテロコリチカ、腸管侵入性大腸菌など

感染毒素型

原因細菌が食品中に増殖し、生きたまま食品とともに摂取され、腸管内で増殖または芽胞を形成する際に産生された毒素によって発病する。
原因菌:腸炎ビブリオ、カンピロバクター、ウエルシュ菌、腸管出血性大腸菌〔ベロ毒素(VT)産生〕

サルモネラ属菌食中毒

感染型の食中毒で、体の中に入ったサルモネラ属菌がさらに増殖して起こることが多く、ゴキブリ、ハエ、家畜から汚染されることもある。腸炎菌(エンテリティディス)、ネズミチフス菌などがよく知られる
症状:他の食中毒に比べて経過が長く、重い症状が続く。腹痛、下痢(水様便)、嘔吐、発熱をともなう。大体10〜24時間で発病する。また2、3日後の発病もある。発病後は2、3日で良好に向かい、7〜14日ぐらいで治る。

エンシニア・エンテロコリチカ食中毒(感染侵入型)

豚の糞便で汚染された食品や飲料水が主要な感染源である。0〜5度でも増殖する。十分な加熱で予防できる。

病原性大腸菌(下痢原性大腸菌)

下痢原性大腸菌は通気性嫌気性細菌で、家畜、人、ペット、自然環境に多く分布している。熱に弱く、75度1分間の加熱で死滅する。低温には強く、家庭の冷蔵庫で生き残れる菌がある。感染侵入型と感染毒素型がある。

腸管侵入性大腸菌(感染侵入型)

赤痢のような症状を示す。潜伏期は2,3日。主に牛などの腸管内に存在する。原因は糞便などからの2次感染よる食品。人から人への2次感染を起こす。

腸管病原性大腸菌(感染毒素型)

下痢、腹痛などの急性胃腸炎を起こす。潜伏期間は2〜6日。家畜の腸管に存在し、食肉などの畜産品から感染する。

腸管凝集性大腸菌(感染毒素型)

開発途上国の乳幼児によく見られ原因不明。原因は腹痛、水様性下痢。

腸管毒素原性大腸菌(感染毒素型)

ヒトの腸管内で毒素を作り、下痢を起こす。潜伏期間は、1〜3日。熱帯・亜熱帯地方の開発途上国における最も重要な感染症の一つである。開発途上国は水系感染が多く、日本では給食や仕出し弁当が多い。

腸管出血性大腸菌(Oー157)(感染毒素型)

腸管内で増殖した菌が産生するベロ毒素(VT)により激しい腹痛と出血性大腸炎を起こす。潜伏期間は4〜9日。幼少児や高齢者が感染すると腎臓障害(溶血性尿毒症候群)を起こし死亡する事もある。
感染源・原因食品:動物の糞便中に存在する菌を何らかの形で摂取することにより感染する。少量の菌でも発症し、主な原因は肉が多い。

腸炎ビブリオ食中毒

海水域に生息する。冬季は海底の泥中で越冬し、海水温度が17度以上になると増殖を始めるといわれ、20度以上になると急速に増殖する。原因食品は魚介類とその加工品で、アジ、イカ、たこのような近海産の魚介類である。また、手指を介する二次汚染も起こりうる。

予防方法は魚介類を流水でよく洗うこと。充分に加熱処理を行うこと。包丁、まな板の洗浄消毒を適切に行う。

カンピロバクター

微好気的条件でのみ、発育し、芽胞を形成しない。4度以下の低温でも生存し、菌数が少量でも発育する。家畜、ペットの腸管内に存在し、保菌率は鶏が高い。加熱不足が原因となることが多い。鶏肉の充分な加熱をすること。二次汚染に注意。

ウエルシュ菌食中毒

人の腸管内に存在する嫌気性の芽胞形成菌で、易熱性(100度、数分の加熱で死滅)であるが、耐熱性のものもある。原因食品:肉、魚介類、野菜類、煮物、カレー、シチュー、そうめんつゆなどの前日調理したものが多い。症状は下痢、腹痛。対策としては料理をこまめにつくるようにして、長い間放置しないこと。

セレウス菌食中毒

セレウス菌は下痢型と嘔吐型があり、下痢型は熱に弱く、嘔吐型は熱に強い。土壌、河川、植物などに生存している通気性嫌気性菌で芽胞を形成する。

加熱によっても破壊されない食中毒菌の代表的なもの。ブドウ球菌の毒素はエンテロトキシンという。ブドウ球菌は人の鼻腔内や化膿巣に多く存在し、原因は調理従事者の化膿巣などからの汚染と考えられている。

ボツリヌス食中毒

土壌の中に存在する嫌気性の芽胞形成菌で、毒素型の食中毒。毒素はA〜Gまであり、人で中毒を起こすのはABEFの4つの型。日本ではE型が多い。80度で20,30分の加熱で無毒になる。
別名腸詰菌中毒ともいわれ、肉類、魚、豆、アスパラガスの缶詰や、ソーセージなどの中に混入した菌が増殖し、毒素を産生する。主な症状はめまい、頭痛、吐き気があり、さらに進行すると神経系が侵され、言語障害、えん下障害、視力障害が起こる。

ウイルス性食中毒

小型球形ウイルス(SRSV)

小型球形ウイルス(SRSV)は非細菌性急性胃腸炎の原因ウイルスであるノーウォークウイルス、ノーウォーク様ウイルスの総称である。ヒトカリシウイルスともいう。汚染食品としては、かき、ハマグリなどの二枚貝が多い。症状は吐き気、嘔吐、下痢、激しい腹痛、発熱、寒気、頭痛、のどの痛みががある。1,2日で治り、後遺症はない。

その他の食中毒

A型肝炎(流行性肝炎)

A型肝炎ウイルスに対する抗体を持たない未感染者(40歳以下)に多い。感染源は人から人への接触感染、飲料水、かきなどの貝類、すしで経口感染。症状は頭痛、悪心、食欲不振、胃腸障害、黄疸をともなう。

急性灰白髄炎(ポリオ、小児麻痺)

ポリオウイルスの経口感染で起こる。衛生状態のよくない国に多い。不顕性感染が多く、0〜10歳で発症しやすい。症状は急性熱性症状、四肢の麻痺。感染源は糞便に汚染された飲料水、食品など。ワクチンによる免疫力をつけたり、手洗いなどが予防方法。

化学物質性食中毒

ヒスタミンによる食中毒

化学性食中毒の大半を占めるこのヒスタミン中毒は赤身の魚肉に多く含まれるヒスチジンが、細菌の産生するアミノ酸脱炭酸素によってヒスタミンに変化し、ヒスタミンの増加した魚肉やその加工品を食すことで発症する。原因食品の例:秋刀魚、アジ、鰯などの干物やさばの煮付けなどで、食後30分から1時間程度で発症する。

不良添加物による食中毒、農薬、殺虫剤、殺そ剤による食中毒などもある。

有害な容器・器具による食中毒

調理器具や容器などから有害・有毒物質が溶出したり化学変化により生成することがある。主なものに、銅、鉛、亜鉛、ホルムアルデヒド(ホルマリン)、スズなどがある。

自然毒による食中毒

動物性自然毒

ふぐによる中毒

昔から毒があることで有名だが、調理法が正しければ中毒の心配はない。ふぐの毒成分をテトロドトキシンといい、ふぐの体の全部分ではなく、内臓、特に卵巣に最も多い。次いで、肝臓、胃腸に多い。また生殖巣など体のすべてに毒がふくまれる種類のものもある。クサふぐ、コモンフグ、ショウサイフグは肉にもかすかに毒がある。

ふぐ毒は神経毒で、大体30分から3時間程度で発病し、感覚麻痺から呼吸困難へ進み、早くて4時間遅くて8時間で死にいたる。ふぐ調理にかんしてはふぐ調理師の免許がなければできない。ふぐを食べる際は、必ずふぐ調理師の免許を所持したものに調理を任せることが重要だ。

シガテラ中毒

バラハタ、バラフエダイ、オニカマスなどの熱帯・亜熱帯に生息する魚類を食べることにより起こる食中毒。日本では、南西諸島、伊豆七島、小笠原諸島で発生する。有毒成分はシガトキシン、スカリトキシン、マイトキシン、パリトキシンなどである。症状は下痢、ドライアイスセンセーション(知覚異常)、重症では言語障害で、死亡率は低い。

シガテラ毒は熱帯及び亜熱帯の石灰岩藻に付着する有害プランクトン(低生性渦鞭毛藻)が原因で、これを食べる草食性魚類が毒化し、さらに、この毒化した魚を食べる肉食性魚類が毒化する。シガテラ毒は一般に内臓の毒化が多く、毒性は小型魚、大型魚のほうが強い。毒性には個体差や地域差がある。

いしなぎ中毒

イシナギの肝臓によるビタミンA過剰症によく似た症状が起こる。

貝類による中毒

麻痺性貝毒・・・いがい、あさり、まがきなどの二枚貝、毒素はサキシトキシン。症状は末梢神経麻痺、重症は12時間程度で死亡。

下痢性貝毒・・・帆立貝、むらさき貝、あさりなど、毒素はオカダ酸、ジノフィシストキシン、症状は嘔吐、腹痛、下痢で死亡はしない。

ばいがい食中毒・・・ばいがいに含まれる毒素はスルガトキシン、ネオスルガトキシンで、症状は腹痛、嘔吐、下痢、めまいなどがみられる。

アサリ等食中毒・・・あさり、かき、はまぐりなど、毒素はベネルピン症状は倦怠感、嘔吐、頭痛、黄疸など

植物性自然毒

きのこよる中毒

毒キノコは30種類ほどあり、主なものは、テングダケ、ベニテングダケ、セイタカテングダケ、タマゴテングダケ、ドウツルダケ、ウロコツルダケ、からはつたけ、つきよだけ、にせしめじ、わらいたけなど。毒キノコの成分にはムスカリン、アマニタトキシン。症状は嘔吐、下痢、腹痛、胃腸障害、胃腸カタル、けいれん、昏睡状態、死亡。きのこの見分け方は素人には難しいので、区別のはっきりしないものは食べないことが大切である。

その他の食中毒

ジャガイモ、五色豆(ビルマ)、カビ毒など

寄生虫による食虫毒

トキソプラズマ、アニサキス、スピルリナ、せん毛虫、顎口虫、横川宮虫、広節裂頭条虫、クリプトスポリジウム、サイクロスポラ

食品衛生学における食中毒の基本的なことをまとめてみました。

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